いのちのかたち2 The shapes of life2 / あらい いづみ
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A4変形スクエアサイズ、32ページ 2021年4月発行
all watercolor drawings by Idumi Arai
all direction, words and photograph by Yosuke Tsuyuki (slowboat)
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ここに収められたあらいいづみさんの作品は、3年前の2018年に描かれ、2019年に撮られたものが多く、加えて2020年に描かれて、本にすることを決めてから、2021年に撮られたものが収まっている。
2019年に撮った写真のことを自分では忘れていた。九州での個展に持って行ってしまう前に、(売れてしまったら、もう見れないかもという閃きのようなものがあり)記録として撮らせてもらったのだと思う。
2020年の後半から、様々な不調が続き、また
コロナ禍も相まって、何かを作る気力も集中力も持てなかった中で、一気に歳をとったような気持ちになっていた。
そんな中で、あらいさんと折々、力の抜けた話をしたりしていたのだれど、そんな時にこの写真の存在を思い出した。
そこからリハビリのように丁寧に汲み取っていった。
昔の自分が今の自分を助けてくれる、という言葉が、頭の中に常にあったような気がする。
8割程完成したところで、あらいさんに伝えたのだった。
だからこれは、頼まれてもいないのに、作りたくて勝手に作った作品ということになる。そんな本は普通あまりないのだと思う。
締め切りを設けず、追われることなく、でも作りたいから作ってしまう、という、自然発生的な創作の姿がそこにはあった。
最初は、描かれたいのちのかたちそのものに助けられていった。次にそれを通じて、自分のいのちのかたちを探ることになっていった。
いのちのかたちとは何だろう、と改めて思うようになった。
ひとは誰でも生まれながらに変わらないいのちのかたちを持っていて、それはそのひとの核のようなものだと思っている。
色々なことが付随していって、見えなくなっているけれど、形も大きさもかわらず、動かず、それはそこにあって、向こうから出てくることはないのかなと思う。ただ、こちらから時間をかけて、会いに行くことはできる。
表紙と中のカットに使われてもらった、重なったひかり、という作品は、本ができてしばらく借りていて、そのカット通りに窓辺に飾っている。
作品の光の輪を見ていると、自分のいのちのかたちに繋がるような、光の記憶を手繰っているような感覚になった。
光は記憶、輪が重なると、それは記憶を辿っていくトンネルになる。
いのちのかたちにひかりを当ててやることは、赤ちゃんの自分にひなたぼっこをさせてやるようなこと、自分を大切にすることだ。
今の自分は、誰かに何かを伝えたくて、何かを作っているのではない、と思った。伝達以前の感じたものそのままだ。
ただ、自分の中を通して、何かを作ることで、同じような道筋を、その道しるべが形として残るかもしれない。
ひつようとしているひとには、かならずとどく、あらいさんとそんなことをよく話している。
そして、それは本当にそうなのだと思う。
(slowboat つゆきようすけ)
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あらいいづみ Arai Idumi
群馬県高崎市在住。画家。
こころのかたちを筆の動きに託して。
柔らかい色彩感覚と、ひとのこころが根源的に求めているひかり、それをキャンバスに写し取っているようにも見えます。
それはいのちに通ずるものであり、観るものの心に、すっと入り込んでくる。
優しく、親密に寄り添うような、そんな絵を描ける作家です。
個展、企画展問わず、展示を盛んに行っており、最近では水彩画のワークショップやトークショー、大きなサイズの作品にも意欲的に取り組んでいます。
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